ミスター物流では、多くのお客さまから物流センターや物流倉庫の「効率化」に関するお問合せ、ご相談をいただいております。
近年では物流マーケットが抱える物流倉庫(スペース)不足、人材不足といった問題にくわえ、需要の変化に伴う在庫の「小ロット多品目化」への対応も必要になるなど、課題解決を急務としている物流センターが非常に多い状況にあるといえます。
中二階とスペースの効率化
なかでもミスター物流に多くいただくのが「スペースの効率化」「中二階の取り扱い」についてです。
上部空間の有効活用
在庫量が増えるなか、物流センターや倉庫の在庫スペースを「横に広げる」ことには当然限界があります。移転や拡張には大きなコストとリソースが必要となり、簡単に行えるものではありません。
そこで検討されるのが、「縦に広げる」上部空間の有効活用です。
しかし、そこには建築基準法や消防法・安全面に関する確認が必要不可欠です。
今回、ミスター物流では、このスペースの効率化、中二階にフォーカスをあて、その現状と課題解決に向けたポイントについて、株式会社清和ビジネス 物流施設アナリスト福田伸介が解説いたします。
中二階の現況について
中二階の種類(主に構造の違いについて)
物流センター・倉庫の上部空間の有効活用手段として利用されてきた中二階ですが、名称については取り扱いメーカーごとに違い、法的にも明確な呼称が確定していない為、ここでは構造の違いから主な3種類をご紹介いたします。
積層ラック
支柱をラック構造体から取り、上部を床構造としたラックのこと。
メザニン
中二階とも言い、独立支柱構造で上部を床構造としたラックのこと。
パレットステージ
固定式ラックを利用せず、ネステナーなどを渡り床で横に連結させ、上部を床構造としたラックのこと。
法的取り扱いについて
中二階を導入しようとする場合、建築基準法と消防法、労働安全衛生法の3つについて適合しているかどうかを事前に検討することがコンプライアンス上重要なことです。
ここでは、建築基準法と消防法のからアプローチを確認したいと思います。
建築基準法からのアプローチ
かつては明確な規定・規約が存在しなかった為、上記の3種類を主に構造上の特徴から“ラック”として商慣習的に取り扱いし、販売してまいりました。
しかし近年では、上部の床構造部に人が上がって作業をする前提では“ラック”ではなく、“床、階”と見なされます。つまり中二階が、建築基準法第6 条、第88条の“建築物”として取扱われる場合は、建築物確認申請を行った上で設置を行わなくてはなりません。
消防法からのアプローチ
中二階を設置することにより、感知器の増設や避難誘導灯の変更、増設等など消防設備の変更が発生する場合があります。この場合は事前に変更届を提出し、工事後は検査を受ける必要が有ります。
設備の再検討については、消防署ごとに独自に床面積の算入を判断していることがありますので、事前に建築物のそれぞれのケースに応じて特定行政庁に問い合わせて、当該施設の床面積の算入の要否について確認することが必要になります。
法的取り扱いのまとめ
中二階を設置しようとする場合は管轄の各省庁に事前の相談、確認が必要となります。
各種申請については、設置事業者が行ないます。
- 建築関連:市町村の都市計画課や建築指導課など
- 消防関連:地域所轄消防署の防災課など(本庁の場合もあります。)
相談用の窓口が一括して受付している場合や自治体により担当部課、窓口が違いますので電話でご確認をしていただき、アポイントの上ご相談されることをお勧めします。
中二階の代替案について
中二階を利用する場合は“ラック”として問題のない構造、使用方法が求められておりますが、以下の図のように、消防設備の審査基準として床面積に参入されない使用例が示されている場合もあります。
つまり中二階の外部からハンドリングを行う場合は、床面積に含めず棚として取り扱われるということになります。これに対応したレイアウト例、運用例を以下に提示いたします。
上部にプッシュバックラックを設置することにより、人が上がらずパレットでのハンドリングが可能となります。中二階の奥行(懐)が深い場合は特に有効と思われます。
弊社での納品実績としては、上写真のように全体をプッシュバックラック構造として、1段目を段抜きしてそこに中量ラックを配置することにより、下層部を小物の保管スペースとして使用することも可能です。
ラック支柱が多いことにより1層部の使い勝手は限定されますが、中二階のコストが不要となる為、コストメリットが高いプランです。
まとめ
今回、物流センター・倉庫の中二階、スペース効率化にフォーカスをあて解説をいたしましたが、物流センターの課題は各社とれぞれのはずです。清和ビジネスでは、各社の課題にさまざまな角度から各社の課題を分析し、その「最適」な答えを導きご提案をいたします。
まずは現状の課題について、ミスター物流へ気軽にご相談ください。