口の健康は人生を豊かにする。
「歯を守る」口腔ケア推進のパートナーとして、「予防を文化にする」を企業理念に掲げ、さまざまな歯科医院向けの口腔ケア関連商品の提供や社会への予防文化の普及に積極的に取り組んでいる、オーラルケア。
茨城県牛久市にあるコミュニケーションセンターでは、主に商品の出荷業務やコールセンターによる受注業務、顧客サポートなどが行われています。実はオーラルケアでは、当センターができる前から現在までおよそ20年余にわたって、さまざまな物流課題と向き合いながら改善を重ね、理想の物流システムを追求してきた歴史がありました。

茨城県牛久市にあるオーラルケア様 コミュニケーションセンター

システム変革に至った経緯、課題

――今回の物流のシステム変革に至った経緯と課題は、どのようなものだったのでしょうか?

これまでアナログで積み重ねてきた、長年にわたる物流現場の改善にもいよいよ限界が…

加藤:
当コミュニケーションセンターが設立されたのは2011 年ですが、それまでは、アウトソーシングという形で出荷業務などを委託していました。そこから現在に至るまでおよそ20年余にわたり物流施設のあるべき姿を追求してきました。
歯科医院向けの業務用商品では、市販される一般消費者向けの商品と違い、流通段階でのバーコードがまだ普及していなかったため、すべての工程で紙のリストに基づき、人の目で、手でチェックが行われていました。パート社員やスタッフたちは、自分たちなりにアイデアを出し合い、工夫を重ねながら、改善を行なってきましたが、できる人・できない人の個人差が大きく、業務が属人化していったのです。
また、現在のコミュニケーションセンターでの出荷業務では、社員2名、パート社員約30名が業務を行っていますが、業務拡大に従って扱う商品数も増加し、将来少子高齢化で人手不足も予測されることなどから、今、業務の標準化や効率化に、何としてでも取り組まなくてはならないと思っていました。

インタビューにご協力いただいたセンター長 加藤様(左)、八木橋様(右)

八木橋:
私は、アウトソーシング時代から長年オーラルケアの物流現場を見続けていますが、やはり「業務の標準化」による生産性の向上が大きな課題になっていました。
これまでも工程ごとにいろいろな課題を洗い出し、課題解決に取り組んできましたがそれも限界に近づき、いよいよ根本的に業務基盤を見直して、本気でシステム変革を行わなければならないタイミングに来たと感じていました。
しかし、自社商品へのバーコードの導入までには一定の時間がかかるため、バーコードがない中、現段階において本当に自分たちがやりたいことができる、理想のシステムが実現できるかどうかは判断できないが、何とかこれをやり遂げなくてはならない、という強い使命感が皆にありました。

プロジェクト、業者選定の開始

――そこで、コンペという形でいろいろな視点から意見や提案を聞いてみよう、ということになったのですね。

あきらめずに追求してきた「本当に自分たちのやりたいシステムを実現したい!」その強い想いに真摯に応えること

加藤:
その通りです。最初に十数社の候補を選び、コンタクトをとって意見交換などを行いました。
その中には、“やはりバーコードがないと難しいですね” という意見の会社もありました。
期待値が高かったものの、課題が複雑すぎてハードルが高いのか。そんな想いも頭をよぎりました。しかし、大きな課題解決に向けて進むために、豊富なノウハウを持つ清和ビジネスさんをはじめとする数社を選定し、提案をお願いいたしました。

八木橋:
最初の立上げからずっとやりたいと思っていたことが実現できるのか。本当にバーコード代わりになるシステムができるのか。その実現への期待とともに、かなりの投資費用もかかることから、費用対効果がどのくらい見込めるのかもこの目で確かめたいと思っていました。さらに、私たちの物流現場の課題もかなり複雑で、特殊な要件や要望が多かったため、理想とするシステム開発に向けて、私たちの課題をよく理解した上で、いかに具体的にシステムの全体像と機能を描いて、開発の実現性に導いてくれるかも重要なポイントでした。

現在のコミュニケーションセンター

清和ビジネスのソリューション提案

――各社からの提案を受けられて、どのような評価基準でご判断されたのでしょうか。

清和ビジネスからの顧客の立場に立った綿密なシステム提案によって理想のシステムづくりへの道が拓ける

加藤:
とにかく、課題が多岐にわたり複雑だったため、提案が出てくるまで1ヶ月程度かかる会社が多かったですね。自社のシステムやパッケージソフトをベースにした提案など、各社の考える様々なアプローチ視点からのご提案をいただきましたが、やはりこちらの要望や仕様をよく理解して、具体的に実現していく考え方や手法が、一番マッチしていたのが清和ビジネスさんでした。
提案タイミングも、清和ビジネスさんはとにかく早かった!そして、提案内容についても、ハンディターミナルを活用したシステムで、シングルピッキング、トータルピッキング、棚卸し、検品、データ収集など、工程ごとのこちらの課題や悩みをほぼ解決できるものでした。
特に清和ビジネスさんの良かった点は、弊社の立場に立脚した顧客ファーストの姿勢で、工程ごとの課題をよく理解して、現場に精通したスペシャリストが、期待以上の提案をしてくれたことです!

八木橋:
とにかくやりたいことがいっぱいあったため、どのくらいそれに応えてくれるかを期待していました。清和ビジネスさんは、専門的な知識が豊富だったのも魅力でしたね。このようなシステムがあればいいですよね、という独自の仕様書まで作成していただき、コミュニケーション面においても、何でも自由に質問することができ、的確な答えをいただいたのも、具体的な課題解決方法を考えていくにあたり何でも相談できるパートナーとして安心感がありました。

加藤:
今回は、まず新たなシステムのベースづくりと考えました。重要度の高いものから解決していき、まだまだこれからやらなきゃいけないこともいっぱい出てくる。だから、将来にわたって、システムも、私たちも、一緒に成長していける最適なパートナーを望んでいましたので、清和ビジネスさんの提案と取り組みはそれに十分値するものでした。

清和ビジネスについて話すセンター長 加藤様

清和ビジネスは長年物流現場に取り組んできた豊富な知見があり、商社機能も有しているため、常に顧客の課題に寄り添い、最適なソリューションとは何かを追求する、具体的な引き出しを持ち合わせていました。そういった長年培ってきたノウハウが、オーラルケア様からの高い評価をいただくことにつながっています。

要件・仕様については徹底的に議論する

――その後、どのようにして具体的なシステムを構築していったのでしょうか。

これまで追求してきた理想のシステムへの強い想いと経験が、清和ビジネスとともに形になる

加藤:
清和ビジネスさんに決定したのが、2022年6月。そこから、11月ぐらいまでかけてシステムの要件や仕様決め、何を、どこまで実現していくのかを徹底的に議論するための定例会を開きました。
具体的には、弊社の物流現場の特徴として特殊な要件がたくさんありますので、それらを一つひとつクリアする方法をつめていきました。こちら側からも関係者全員が参加するようにして、要件や課題を全員で共有することで漏れやムダをなくし、作業の手戻りが生じないようにプロジェクト体制を固めました。

特殊な要件の例

  • 販売ラインが、1商品につき25本だったり、5本だったり、1本だったり、多様なパターンのピッキングが発生
  • 全国の歯科医院からオーダーされる商品の内容や量もさまざま。またグループ会社であるOCメディックからのディラー向けなどの販売ラインも存在
  • 毎月のキャンペーン用の販促物など同梱するチラシ、パンフをはじめとする多くの種類のアイテムが存在
  • さらに、歯科医院からのオーダーの備考欄にある要望で、「ここの医院はこういう形で送って欲しい」とか「こんなツールを同梱して欲しい」など、個々の歯科医院の要望に応じて、細かくカスタマイズされたピッキングも必要

加藤:
これらをいかに効率良く、パート社員でも作業が標準化できるようにするか、を徹底的に議論していきました。

ここで活きたのが、オーラルケアが最初の物流施設の立上げから蓄積していた、数々の課題やそれに対する改善の取り組みへのノウハウだったといいます。

八木橋:
これまでの取り組みはすべてアナログではありましたが、近いことはやってきた経験から、現場でのさまざまな課題についてはほぼ洗い出しができていました。さらに、長年自分たちがやりたいことや考えていたこともほぼ「見える化」できていたため、それを清和ビジネスさんにどう形にしてもらうかにリソースを集中させることができました。
これまで積み上げてきた、いわば独自の現場資産ともいえる情報とノウハウが、新たなシステム開発において大いに役立つことになりました。また、新たなシステムを使う立場であるパート社員の方たちからも、こんなことがしたい、こう変えたいなどといった意見も吸い上げ、みんなで作ったシステムとなるよう、一つひとつの課題をクリアしていきました。

加藤:
清和ビジネスさんとシステムを作り上げていく過程で、構想は元々あったが、初期開発では予定していなかった機能を追加したケースもありました。
例えば、今回はシステムがどんどん複雑化していくために、「マルチピッキング」までは難しそうだな、とこちらでは考えていました。しかし、機能と現場で使いこなせるかなどを相談しながら話を進めていく中で、清和ビジネスさんならできそうだな、という感触を得られたので開発機能に入れることにしました。
これにより、シングルピッキング、トータルピッキング、マルチピッキングと、考えられるすべてのピッキングシステムをハンディターミナルで実現させることができました。

こうして、たくさんの人々の長年の夢と努力の結晶として、オーラルケアの新たなシステムはテスト期間を経て、2023年4月にコミュニケーションセンターに導入されることとなりました。

ハンディターミナルを活用したピッキングシステムを構築

システム導入による成果について

――新たなシステム導入後の成果はいかがでしたでしょうか。導入前と比較されたデータなどもあればお聞かせください。

すべての工程において、業務の標準化、精度アップ、生産性の向上を実現!

八木橋:
システム導入後、パート社員もシステムの使い方にすぐに慣れ、5〜6月あたりからさっそく目に見える成果が出始めました。特に顕著だったのは「出荷業務の簡素化」「生産性・業務精度の向上」です。
棚卸しも、ハンディターミナルのスキャナーを使って、精度アップと時間短縮につながっています。まだまだシステムを十分使いこなしていない発展途上の段階かと思いますが、導入後、数ヶ月間での導入前との比較データをご紹介いたします。
これから目標とする個別指標を設定しながら現場とともに業務の質を高めていければ、さらに高い成果をもたらすことができると思っています。

出荷業務の生産性

導入前導入後
1件平均:11.8 分1件平均:10.8 分

棚卸し時間(平均)

導入前導入後
53時間43時間

棚卸し誤差率

導入前導入後
0.029%0.021%

誤出荷件数(1ヶ月あたり)

導入前導入後
6件3件

加藤:
大きな課題であったパート社員間での個人差もなくなり、業務が標準化されました。
また、すべての工程において成果が上がっています。マルチピッキングなども、システムについていけないというパート社員もいませんでした。
パート社員の働きやすさという点でも、誤出荷しないようにといったストレスやプレッシャーも大きく低減し、残業の低減にも貢献しています。みんなの意見を取り入れたシステムが導入されたことで、パート社員のモチベーションも上がっており、仕事のやりがいやもっと良くしたいという情熱も高まっていると思います。

長年の夢だった私たちのやりたいことを形にしてくれた、清和ビジネスさんには大変感謝しています。システムにかける想いや会社としての取り組み、多くの要望を共有していただき、全力をあげてご協力いただいたおかげです。
以前に、自分たちがどうなりたいかという想いが足りなくて、業者さんにお任せするというスタンスで仕事を行い、妥協してしまったり、判断が十分でなかったりで、思うような成果が得られなかったという苦い経験があります。
本当に我々がやるべきことは何だろう。私たちの想いやホンネを全力でぶつけよう。
これまでの失敗から得た経験が活かされて、清和ビジネスさんという最適なパートナーにも恵まれたことで、今回のシステム導入の成果につながっていると思います。

実は、清和ビジネスさんをコンペの候補として見つけてきたのが、現在の社長(社長に就任する前でしたが)だったんですよ。そんなことにも何か強いご縁を感じますね。

エントランスや共用部、休憩スペースには数多くのアートが飾られている

今後のビジョン、取り組むテーマについて

――今後のシステムについて、どのようなビジョンや取り組むべきテーマをお考えでしょうか。

どんな物流現場の変革も「あきらめないで欲しい」
システムの進化を目指しながら、次のステージの構想にビジョンは広がる!

八木橋:
引き続き、生産性や精度の向上を目指して、具体的な指標を設定しながら、より良いシステムにしていくことが目標です。
導入後も現場から上がってきた要望や課題については、随時清和ビジネスさんに連絡して相談を行っています。例えば、今、取り組んでいるのは、「一人あたりの生産性」。データできっちり出したいので、必要なデータやその収集方法、評価方法などを相談しながら、改善に向けた動きを進めています。また、「検品」の作業をさらに簡素化できないか、というのもそのひとつ。
将来にわたるパートナーとして、常々変化していく現場課題の解決にも力を入れ、清和ビジネスさんとともにシステムをさらに進化させていきたいですね。

プロジェクトについて語る八木橋様

加藤:
これから5年後、10年後を見た場合、商品の種類や量も増え、さらに一歩進んだステージが必要になるのではないかと思っています。例えば、現在「在庫管理」については、基幹システムの中で行なっていますが、これからは、バーコードへの対応もここ数年で完了させる予定ですので、今回のシステムと一体化させて受注から在庫管理、出荷に至るまで、トータル管理ができるWMS(Warehouse Management System)に取り組んでいくかは、今後のステップアップのための重要な検討ポイントであり、大きなターニングポイントになると考えています。

また、口腔ケアの「予防文化」をより普及させていくためには、モノだけではなく「人」も大切です。今回のシステムづくりでも、社員やパート社員の声がかなり反映されました。さらに「自分たちで作ったシステム」という想いが強くなることで意識変革が起こり、オーラルケアで働く意義や価値の向上につながり、社員やパート社員の働くことを通じた幸せにもつながっていきます。

今回のシステム開発に至るまで長年の間、私たちは何度かあきらめかけたこともありました。
しかし、何が何でも実現させるという強い想いを変わらず持ち続けてきたからこそ、清和ビジネスさんとの出会いがあり、今回の新たなシステム開発による成果が生まれたのだと思います。

最後に

どんな物流現場においても変革を目指すことを「あきらめないで欲しい」

世の中には、やるべき課題に立ち向かうことなく、あきらめてしまう会社や仕事がたくさんあるのではないでしょうか。
私たちは、信念を貫き、何度も挑戦することから学び、そこから進むべき道が見えてくることをこれからも信じ続けていきます。